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迷走するカナダ通商政策 NAFTA・TPP成果出せず中国とも合意なし

12/8(金) 7:55配信

産経新聞

 【ワシントン=塩原永久】中国を訪れたカナダのトルドー首相は7日、優先課題とする中国との自由貿易協定(FTA)交渉入りを合意できないまま正式日程を終えた。カナダは最大の貿易相手である米国と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で対立。先月の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の協議ではトルドー氏が最終段階で席を蹴った。成果が出せず方向性がみえない通商外交に国内から批判が出ている。

 4日間の日程でトルドー氏は、事務方で協議してきたFTA交渉開始などを議題に、習近平国家主席や李克強首相と会談した。

 北京に続き訪問した広州市で、トルドー氏は、両国が通商関係で「より開放的な形で協力を深めるべきだとの認識を共有できた」と成果を強調したが、FTA交渉は進展しなかった。

 カナダ紙によると、労働条件や環境規制などの「先進的な」項目を協定に盛り込むよう主張したカナダ側の要求を、中国側が拒絶。予定された会見がキャンセルされるなど、歩み寄りがみられなかったという。

 通商分野でのカナダの最大の課題は、輸出の約7割を占める米国、およびメキシコとのNAFTA再交渉だ。NAFTA離脱をちらつかせ、厳しい要求を突きつけるトランプ政権への対応は一筋縄では難しい。

 対中交渉が米国への牽制(けんせい)材料になる思惑もあり、カナダ政府はトルドー氏の訪中で、FTAの交渉開始を宣言できるよう準備を加速させていたようだ。

 ベトナムで11月に開かれたTPPの協議では、カナダの要求でTPPの名称に「包括的・先進的」が加わったが、トルドー氏は参加11カ国首脳による発表会見を直前にキャンセルした。

 7日のバンクーバー・オブザーバーは、カナダの通商戦略が「かつてない変化の渦中にある」(ブリティッシュ・コロンビア大のティベルギアン教授)との見方を紹介。米国以外との貿易拡大を進める「実利」と、先進性という「理念」を同時に追求する政権の姿勢を批判した。

 酪農家が多いケベック州では独立運動が盛んだが、NAFTA再交渉では乳製品分野で米国から突き上げを受けた。トランプ政権への対応をめぐるカナダ政府の苦悩も、通商政策の不透明さに拍車をかけている。




元の記事はこちら==>https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171208-00000089-san-s_ame

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