当コラムは東洋経済オンラインの有料メールマガジン「本田雅一のIT・ネット直球リポート」からの抜粋記事です。
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日馬富士が酒宴で後輩の貴乃岩を暴行、傷害を負わせた事件は、人気・実力とも充分兼ね備えていた現役横綱の引退にまで発展した。人々の関心が高く、報道が過熱する背景には、日本の国技として一定以上の人気を保っているだけでなく、職業力士による大相撲を興行する日本相撲協会が公益財団法人として認定されているという背景もあるだろう。
公益財団法人ということは、すなわち単なるスポーツ興行ではなく、古来より伝わる日本固有のスポーツである相撲の伝統と文化を後世に伝え、守り、普及させるといった文化振興事業ということだ。
しかし、実際の大相撲がかなり“興行側”に偏った活動となっていることは、誰もがご存知のところだろう。
■ネット全盛時代の危機管理について考える
伝統と文化を守る文化振興事業というのならば、一定の節度を持って運営されなければならない。そこに重大な問題が生じた。北朝鮮が新型ICBMと思われるミサイルを発射した中で、そうしたニュースを押しのけてまで行われる過熱報道は、個人的に行き過ぎという印象もあるが、日本相撲協会の位置付けや過去の不祥事から続く「またか」という思いがこのニュースバリューをさらに引き上げているように感じる。
さて、この事件はさまざまな謎に包まれた日馬富士の電撃引退から、さらにドラマティックな展開へと移ろうとしているが、本記事はその最新ニュースを追いかけようというわけではない。ネット全盛時代の危機管理について考えてみよう、というのが今回の記事の主旨だ。
大相撲を巡る不祥事は以前よりあったが、近年、特に2007年に『週刊現代』が八百長告発を行ったあたりからは、力士暴行死事件、大麻事件、野球賭博事件など度重なる醜聞が露呈するようになった。
以前からそうした問題は存在したのかも知れないが、“環境”の変化によって、不祥事を抑え込み内部に留めることが難しくなってきたのだろう。
環境は変化している。とりわけ情報伝達の速度は早く、また大きな組織から見ると取るに足らない個人であっても、時にSNSなどで発言が注目され、瞬く間に考え方が広がっていくのが現代だ。
■時代の変化を読み取れない組織が“延焼”を促進
日馬富士による暴行傷害事件における日本相撲協会の対応、広報、あるいは事件を取り巻く人物の行動や発言を見ていると、そうした環境変化を正しく認知できず、結果として世論の強い反発を招いている。非ネット時代であれば、あっという間に風化し、単なる“週刊誌ネタ”だけですぐに終息したのだろうが、今は報道する側もネットで世の中の反応をリアルタイムで感じながら伝え方を考えている。
元の記事はこちら==>https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171208-00200510-toyo-soci
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